電話システムのセキュリティというと、管理画面のパスワードや不正アクセス対策を思い浮かべがちです。しかし、見落とされやすく、実はとても大切なのが 「音声そのものが通る経路で暗号化されているか」 です。

電話の検討では「クラウドか、オンプレか」が話題になりますが、それと同じくらい 「音声がどこを通り、どの区間で守られるか」 を確認することをおすすめします。

音声が通る経路と守り方の図。クラウドPBXは電話機からインターネット経由で社外のクラウドへSIP/RTPが流れ、暗号化がないと傍受リスクがある。オンプレ型は音声・録音が社内に留まりやすく、在宅は暗号化トンネルで接続する。

SIPとRTPとは?「呼制御」と「音声」

IP電話の通信は、大きく2つに分かれます。

  • SIP:電話をかける・つなぐ・切るといった呼制御(信号)
  • RTP:実際の音声データそのもの

そして重要な点として、一般的な SIP/RTP は、それ自体は暗号化を前提としていません。設定や接続方式によっては、音声が暗号化されないまま流れる場合があります。

暗号化されていないと、何が起きうるか

通信を取得できる立場(同じネットワーク上の不正な機器、共有Wi-Fi、経路上の機器など)に第三者がいる場合、条件がそろうと、通話制御の情報や音声内容が傍受されるリスクがあります。とくにインターネットを経由して電話機やソフトフォンを接続する構成では、暗号化の有無がより重要になります。

ここでの「傍受」は、暗号化されていないVoIP通信のパケットを取得・解析できる条件が成立した場合に起こりうるリスクを指します。常に必ず盗聴されるという意味ではありません。だからこそ、暗号化されているかどうかの確認が大切です。

守るための仕組み:SIP-TLS と SRTP

音声通信を保護するには、次の2つを分けて考えます。

  • SIP-TLS:呼制御(SIP)を暗号化
  • SRTP:音声(RTP)を暗号化

注意したいのは、SIP-TLS だけでは音声は守れないこと。呼制御はTLS、音声はSRTP、と両方がそろって初めて、通話の内容まで保護されます。

クラウドPBXを選ぶときに確認したい質問

クラウドPBXでも暗号化に対応するサービスはあります。ただし、標準で有効か/追加設定が必要か/端末によって変わるかはサービスごとに異なります。次の点を確認しましょう。

  • 電話機・ソフトフォンとの通信は SIP-TLS / SRTP に対応しているか
  • それは標準設定か、追加設定が必要
  • 専用アプリ固定IP電話機で条件は同じか
  • 暗号化されない区間は残っていないか
  • 録音データの保存場所はどこか(社内か社外か)

これらは「クラウドが悪い」という話ではなく、どのサービスでも確認すべきチェック項目です。

オンプレ型IP-PBXで管理しやすくなること

PBX本体を社内に置くオンプレ型は、内線通話・通話録音・PBXの設定データを、社内設備を中心に管理しやすい構成です。音声や録音が、どこを通り・どこに保管されるかを把握しやすくなります。

ただし、「社内に置けば必ず安全」ではありません。社内LAN内でも端末の侵害や不正接続などのリスクはゼロではなく、外線通話は通信事業者の網を経由します。大切なのは「経路と保管場所を明確にし、必要な区間を暗号化する」という考え方です。

VoiceLine PBX の考え方

私たち VoiceLine PBX は、音声の経路と録音データの保管場所を明確にすることを重視した、社内設置型のIP-PBXです。提供条件はお客様環境の確認後に作成するお見積書でご提示します。

在宅勤務や遠隔拠点との接続については、姉妹製品 ForceLink との連携により、暗号化トンネルの中で音声端末を利用する構成を検証中です。正式提供時の対応範囲・条件は、検証結果に基づきご案内します。遠隔接続が必要な場合は、利用端末・回線・拠点数を確認のうえ個別にご相談ください。

まとめ:見るべきは「どこを通り、どこで守られるか」

  • SIP/RTP はそれ自体では暗号化されないことがある
  • 守るには SIP-TLS(呼制御)+ SRTP(音声) の両方が必要
  • クラウドPBXでは「暗号化が標準か・端末依存か・未対応区間はないか」を確認
  • オンプレ型は経路と保管場所を把握・管理しやすい(ただし“絶対安全”ではない)

SIP・RTP・SRTP などの用語は 用語集 でも確認できます。電話のセキュリティで迷ったら、クラウドPBXとオンプレの比較緊急通報・安全性 もあわせてご覧ください。通信経路・録音データの扱いについては、まず 料金ページ安全性ページ をご確認のうえ、お問い合わせ で具体的にご案内します。